基本情報
最終更新日時:2024年11月7日17時0分

警告

【1.1】本剤の投与は,緊急時に十分に対応できる医療施設において,適応疾患の治療又は臓器移植に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の使用が適切と判断される症例のみに行う。また,治療開始に先立ち,患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し,同意を得てから投与を開始する【1.2】本剤の投与開始後30分~2時間より現れるinfusion reactionのうちアナフィラキシー,肺障害,心障害等の重篤な副作用(低酸素血症,肺浸潤,急性呼吸促迫症候群,心筋梗塞,心室細動,心原性ショック等)により,死亡に至った例が報告されている。これらの死亡例の多くは初回投与後24時間以内にみられている。また,本剤を再投与した時の初回投与後にも,これらの副作用が現れるおそれがある。本剤投与中はバイタルサイン(血圧,脈拍,呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察を行うとともに,投与後も患者の状態を十分観察する。特に次の患者については発現頻度が高く,かつ重篤化しやすいので注意する〔[7.1,7.2,7.8,8.1,9.1.2,11.1.1参照]〕:1)血液中に大量の腫瘍細胞がある(25,000/μL以上)等腫瘍量の多い者2)脾腫を伴う者3)心機能,肺機能障害を有する者【1.3】腫瘍量の急激な減少に伴い,腎不全,高カリウム血症,低カルシウム血症,高尿酸血症,高リン血症等の腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)が現れ,本症候群に起因した急性腎障害による死亡例および透析が必要となった患者が報告されている。血液中に大量の腫瘍細胞がある患者において,初回投与後12~24時間以内に高頻度に認められることから,急激に腫瘍量が減少した患者では,血清中電解質濃度および腎機能検査を行う等,患者の状態を十分観察する。また,本剤を再投与した時の初回投与後にも,これらの副作用が現れるおそれがある〔[8.2,11.1.2参照]〕【1.4】B型肝炎ウイルスキャリアの患者で,本剤の治療期間中又は治療終了後に,劇症肝炎又は肝炎の増悪,肝不全による死亡例が報告されている〔[8.3,9.1.3,11.1.3参照]〕【1.5】皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)等の皮膚粘膜症状が現れ,死亡に至った例が報告されている〔[11.1.5参照]〕【1.6】間質性肺炎を合併する全身性強皮症で,本剤の投与後に間質性肺炎の増悪により死亡に至った例が報告されている〔[2.2,9.1.9,11.1.9参照]〕

禁忌

<効能共通>【2.1】本剤(成分)・マウス蛋白質由来製品に重篤な過敏症又はアナフィラキシーの既往歴 <全身性強皮症>【2.2】重度の間質性肺炎〔症状が悪化するおそれ。[1.6参照]〕

効能・効果

CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫。CD20陽性の慢性リンパ性白血病。免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患。多発血管炎性肉芽腫症,顕微鏡的多発血管炎。既存治療で効果不十分なループス腎炎。難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型,ステロイド依存性あるいはステロイド抵抗性を示す場合)。慢性特発性血小板減少性紫斑病。後天性血栓性血小板減少性紫斑病。全身性強皮症。難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡。視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防。次の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制/腎移植,肝移植,心移植,肺移植,膵移植,小腸移植。次の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の治療/腎移植,肝移植,心移植,肺移植,膵移植,小腸移植。インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与。[公知申請により追記予定]用法参照。(令和6年4月26日より保険適用)

効能・効果に関連する使用上の注意

【1】ネフローゼ症候群:小児期に特発性ネフローゼ症候群を発症した次の患者に限る/頻回再発型あるいはステロイド依存性を示し既存治療では寛解が維持できない患者,ステロイド抵抗性を示し既存治療では寛解が得られない患者。【2】視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防:抗アクアポリン4抗体陽性の患者に投与。

用法・用量

用時,生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で1~4mg/mLに希釈調整し使用。〔B細胞性非ホジキンリンパ腫〕成人1回375mg/m2,1週間間隔で点滴静注。最大投与回数は8回。他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合,併用する抗悪性腫瘍剤の投与間隔に合わせて1サイクルあたり1回投与。維持療法成人1回375mg/m2,点滴静注。投与間隔は8週間を目安とし,最大投与回数は12回。〔慢性リンパ性白血病〕他の抗悪性腫瘍剤との併用で成人初回375mg/m2,2回目以降1回500mg/m2,併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルに合わせて,1サイクルあたり1回点滴静注。最大投与回数は6回。〔B細胞性リンパ増殖性疾患〕1回375mg/m2,1週間間隔で点滴静注。最大投与回数は8回。〔多発血管炎性肉芽腫症,顕微鏡的多発血管炎,慢性特発性血小板減少性紫斑病,後天性血栓性血小板減少性紫斑病,全身性強皮症〕成人1回375mg/m2,1週間間隔で4回,点滴静注。〔ループス腎炎〕1回375mg/m2,1週間間隔で4回,点滴静注。〔ネフローゼ症候群〕1回375mg/m2,1週間間隔で4回,点滴静注。1回最大量500mgまで。〔天疱瘡〕成人1回1,000mg/body,2週間間隔で2回,点滴静注。〔視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〕成人1回375mg/m2,1週間間隔で4回,点滴静注。その後,初回投与から6ヶ月ごとに1回1,000mg/body,2週間間隔で2回,点滴静注。〔臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制・治療〕1回375mg/m2,点滴静注。状態により適宜減量。〔注射液投与の前投与〕成人1回250mg/m2,点滴静注。(以降,公知申請による)〔多発血管炎性肉芽腫症,顕微鏡的多発血管炎,後天性血栓性血小板減少性紫斑病,全身性強皮症〕成人1回375mg/m2,1週間間隔で4回,点滴静注。〔ループス腎炎,慢性特発性血小板減少性紫斑病〕1回375mg/m2,1週間間隔で4回,点滴静注。

用法・用量に関連する使用上の注意

【1】本剤投与時に頻発して現れるinfusion reactionを軽減させるために,投与30分前に抗ヒスタミン剤,解熱鎮痛剤等の前投与を行う。また,副腎皮質ホルモン剤と併用しない場合,副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮。【2】B細胞性非ホジキンリンパ腫:本剤投与時に頻発して現れるinfusion reactionを軽減させるために,本剤を90分間で投与するに際し,併用する化学療法に副腎皮質ホルモン剤が含まれる場合,当該副腎皮質ホルモン剤の前投与を行う。【3】ループス腎炎:原則として副腎皮質ステロイドを併用。【4】ネフローゼ症候群:ステロイド抵抗性を示す患者に投与する場合,原則としてステロイド剤(パルス療法)を併用。さらに免疫抑制剤の併用が望ましい。【5】臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制:投与時期の目安として,腎移植は移植2週間以上前及び1日前に2回,点滴静注。肝・心・肺・膵・小腸移植は移植2週間以上前に1回点滴静注し,抗体価又はB細胞数の減少が不十分な場合さらに1回追加投与。【6】臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の治療:投与回数の目安として,1回点滴静注し,抗体価又はB細胞数の減少が不十分な場合さらに1回追加投与。

重大な副作用・国内1

【11.1.1】Infusion reaction〔本剤の投与中又は投与開始後24時間以内に多く現れるinfusion reaction(症状:発熱,悪寒,悪心,頭痛,疼痛,掻痒,発疹,咳,虚脱感,血管浮腫等)が,投与患者の約90%に報告。これらの症状は,通常軽微~中等度で,主に本剤の初回投与時に現れている。また,アナフィラキシー,肺障害,心障害等の重篤な副作用(低血圧,血管浮腫,低酸素血症,気管支痙攣,肺炎(間質性肺炎,アレルギー性肺炎等を含む),閉塞性細気管支炎,肺浸潤,急性呼吸促迫症候群,心筋梗塞,心室細動,心原性ショック等)が発現。抗ヒスタミン剤,解熱鎮痛剤,副腎皮質ホルモン剤等の前投与を行った患者においても,重篤なinfusion reactionが発現したとの報告がある。異常が認められた場合は直ちに投与中止。適切な処置(酸素吸入,昇圧剤,気管支拡張剤,副腎皮質ホルモン剤,解熱鎮痛剤,抗ヒスタミン剤の投与等)を行う。[1.2,7.1,7.2,7.8,8.1,9.1.2参照]〕【11.1.2】腫瘍崩壊症候群〔異常が認められた場合は直ちに投与中止。適切な処置(生理食塩液,高尿酸血症治療剤等の投与,透析等)を行う。[1.3,8.2参照]〕【11.1.3】B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎,肝炎の増悪〔B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎又は肝炎の増悪による肝不全が発現。死亡に至った症例が報告。直ちに抗ウイルス剤を投与。[1.4,8.3,9.1.3参照]〕【11.1.4】肝機能障害,黄疸〔AST上昇(8.6%),ALT上昇(8.8%),ALP上昇(3.6%),総ビリルビン上昇(3.4%)等の肝機能検査値異常を伴う肝機能障害や黄疸が発現。[8.4参照]〕【11.1.5】皮膚粘膜症状(皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),天疱瘡様症状,苔癬状皮膚炎,小水疱性皮膚炎等)〔死亡に至った例が報告。[1.5参照]〕【11.1.6】血球減少〔汎血球減少,白血球減少(41.1%),好中球減少(39.2%),無顆粒球症,血小板減少(12.2%)が発現。重篤な血球減少も報告。好中球減少については,本剤の最終投与から4週間以上経過して発現する例が報告。[8.5,9.1.5参照]〕【11.1.7】感染症(43%)〔細菌,真菌,あるいはウイルスによる重篤な感染症(敗血症,肺炎等)が発現。本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察。[8.6,9.1.4参照]〕【11.1.8】進行性多巣性白質脳症(PML)〔本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し,意識障害,認知障害,麻痺症状(片麻痺,四肢麻痺),言語障害等の症状が現れた場合は,MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに投与中止〕【11.1.9】間質性肺炎【11.1.10】心障害(10.1%)〔心室性あるいは心房性の不整脈,狭心症,心筋梗塞が報告。[9.1.1参照]〕【11.1.11】腎障害〔血清クレアチニン上昇(0.8%),BUN上昇(2.3%)等の腎障害が発現。透析を必要とする腎障害が報告。尿量減少,血清クレアチニンやBUNの上昇が認められた場合は投与中止〕【11.1.12】消化管穿孔・閉塞〔異常が認められた場合は,直ちにX線,CT検査等を実施して出血部位,穿孔・閉塞所見の有無を確認。[8.7参照]〕【11.1.13】血圧下降(6.1%)〔一過性の血圧下降が発現することがある。[10.2参照]〕【11.1.14】可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状〔可逆性後白質脳症症候群(症状:痙攣発作,頭痛,精神症状,視覚障害,高血圧等)が発現。また,本剤の治療終了後6カ月までの間に,失明,難聴等の視聴覚障害,感覚障害,顔面神経麻痺等の脳神経障害が報告〕

投与期間制限

なし

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