リンパ脈管筋腫症

Q リンパ脈管筋腫症と妊娠

質問者:匿名医師
一般内科 循環器内科 心療内科
質問者(医師)

以前はリンパ脈管筋腫症 の患者さんには、妊娠をお勧めできませんでした。最近の専門医の先生とお話しすると、必ずしも妊娠を全面的に否定しないとおっしゃられました。妊娠が可能な、リンパ脈管筋腫症の患者さんとはどういう病態の方でしょうか。

MedPeerエキスパートの回答

LAM患者の妊娠・出産については、ヨーロッパ呼吸器学会のガイドライン(以下、ERSガイドラインと称します)にアドバイスが載っていますので、是非、参照して下さい(Eur Respir J 2010; 35: 14-26の19ページ)。LAM患者に妊娠を勧めなかった、とのことですが、その根拠は乏しいと思います。妊娠中を契機にLAMの診断に至ったいくつかの症例報告が、「妊娠を契機にLAMを発症した」と誤った解釈をされ、「LAM患者は妊娠してはいけない」的な固定観念ができあがってしまったと感じます。呼吸不全班が行った疫学調査では、LAMと診断される前に40%以上の患者さんが平均1.6回程度の出産を経ています。従って、約半数の患者は診断される前に2回は妊娠・出産しており、必ず「妊娠を契機にLAMが発症する」訳ではないことがわかります。実際には、LAMと診断された後に妊娠・出産した症例で、妊娠・出産前後で本当にLAMが悪化するか(例えば肺機能が急速に低下するか?)、が大切なことですが、検討した報告はありません。自験例では、妊娠前の肺機能障害が軽症であれば、出産後の肺機能低下のペースは妊娠前と変わりないと考えています。
ERSガイドラインでは、妊娠するかどうかは患者自身で決める事、とされていますが、いくつかの注意が述べられています。肺機能障害の軽い段階で妊娠・出産が望ましく、肺機能障害が強い状態では妊娠中の低酸素血症や婦人科的合併症のリスク、胎児のリスク、等を考慮する必要があります。気胸や乳び胸を妊娠中に合併するリスクもあり、患者さんにはそのリスクを伝えることが必要です。しかし、気胸は治療可能な病態であることも考慮する必要があります。当施設では産婦人科との併診により、両側に気胸を繰り返し、最終的にはドレーンを留置した状態で出産した症例の経験もあります。肺の嚢胞化は軽度で、肺機能障害も軽度の方だったので、出産後は妊娠前と同様の肺機能のままで通院されています。もちろん、これは極端な例ですが、妊娠前の肺機能障害が軽度であれば、リスクを説明の上、患者さんの挙児希望に応えることができる、という例です。どの程度の肺機能障害まで妊娠・出産がリスク少なく出来るのか、データはありません。自験例の結果からは、1秒量が対標準値の50%以上はあった方がよいだろうと考えています。
一方、経験はありませんが、妊娠中の乳び胸水の出現は、対処が難しいと想像します。妊娠前から乳び胸水がある症例では、予め胸膜癒着により制御する必要があると思いますが、妊娠中に再燃するリスクがあると思います。
妊娠前には、腎血管筋脂肪腫(AML)の有無を確認する必要があります。一般に、AMLに径5mm以上の動脈瘤が存在すると破裂するリスクがあり、破裂を予防するために塞栓術を行うことが必要です。一方、妊娠中は体液量が増加するので、AMLや動脈瘤のサイズが大きくなり破裂するリスクが高まる可能性があります。AMLを合併しているLAM患者では妊娠前に評価して、径が5mm近くある場合には予防的に塞栓術を行っておくことが必要かもしれません。
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瀬山 邦明 先生
順天堂大学医学部附属順天堂医院 呼吸器内科
エキスパート医師

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